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セヘポッマニパドゥセヨ(2004/12/28) |
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今年もあと少しで終わろうとしている。この正月は、家族そろって韓国の実家で過ごす予定だ。十数年ぶりの韓国での正月、結婚して初めてだ。考えただけでわくわくする。 韓国の多くの家庭は正月を旧暦で祝う。2005年は2月9日が旧正月だ。年が変わると新しい気持ちになるが、祖先を迎え入れるチェサ(祭祀)は旧正月に行う。 幼い頃、正月が待ち遠しかった。新しい服と靴を買ってもらえたからだ。みな貧しかったからだろうか、当時はお盆と正月に買ってもらうのがやっとだった。 かなり古くからある風習のようで、私が暮らしていた田舎ではテテオッ(新調した服)と呼んでいた。ソルビム(お正月用に作った服)ともいう。男の子たちがテテオッを着て、村のあちこちでチェギチャギに夢中になっていたことを思い出す。 チェギは、10円玉ほどのコインをビニールなどで包んで10センチほどのふさふさの毛をつけたもの。チャギは蹴り飛ばすこと。男の子が数人集まってチェギを足で蹴りながら遊ぶ冬の遊びだ。大人も参加して、にぎやかに遊ぶこともあった。女の子は見ているだけだったので、男の子がうらやましかった。息子と夫がチェギチャギに夢中になる姿を見てみたいものだ。 最近はいつでも新しい服を買ってもらえるから、テテオッを楽しみに待つ子供たちもいない。でも、正月には洋服の代わりにチョゴリ(上着)、チマ(スカート)、パジ(ズボン)など伝統服を着ることも多いという。韓国は変化しているのだ。 この連載も50回をこえ、「ネタは切れないですか」といわれることもあった。実際は伝えたいことが多く、毎回テーマ選びに悩まされた。限られた字数でひとつのことを掘り下げるのはむずかしいが、可能な限り多く伝えようと心がけたつもりだ。読者はどう感じたろうか。長いあいだ、ありがとうございました。 みなさん、よいお年を。韓国語ではセヘポッマニパドゥセヨという。新年の福がたくさんありますようにという意味だ。日本では年末と新年で挨拶が違うが、韓国では年末から年始にかけて、セヘポッマニパドゥセヨ(幸多かれ)と挨拶する。 |
ちょん・ひょんしる |
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イラストは、韓国の国民大学視覚デザイン科2年生、チョン・ウンジュさん |
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