韓国で高校時代の女友達5人と20年ぶりにあった。突然、一人が私の手を握って、「とても会いたかったわ」「どうしていたの」「どこにいたのよ」。それほど親しくはなかったはずだがと思いつつ、よほど懐かしいのだろうと自分を納得させる。20年も日本に暮らしているからなのか、握ったまま離さない手にとまどいを感じてしまう私。同性どうしが親しみを込めて、積極的にスキンシップするのが韓国的なのだった。そう自分に言い聞かせていた。
「女子高生が腕を組んで歩いていたのに驚いたわ」。最近、韓国のドラマにはまっている40代の日本人女性が言う。韓国では、通学の時などに親しい女子学生どうしが腕を組んで歩く光景をよく見かける。体を抱き合うようにくっついて歩いている者もいる。彼らをレズと思うのは、女性どうしの接触をレズと見なす文化圏の発想だろう。
「離れて歩くと寂しい」「くっつくと安心する」「気持ちが伝わる気がする」。我が家に下宿している20代前半の韓国人の従妹が言う。触れ合うことで何かが通じるのだ。初めての人でも親しくなりたい時は積極的にスキンシップするという。
男性の場合も同じだ。男どうしで膝枕をすることがよくある。だからと言ってホモではない。韓国では日本以上に同性愛に対する拒絶感が強い。同性愛者ならば、人前で大っぴらに愛情表現などできない。友達どうしだから堂々と腕を組んだり、手を握ったりするのだ。40代のある日本人男性は、韓国人と隣り合って飲んでいる時、親しげに太股をなでられて気分を害したという。日本人にはかなり抵抗のあるスキンシップといえよう。でも、韓国人にとっては、ごく普通にある親しみの表現だ。感情表現があけっぴろげな韓国人は、率直に相手との関わり合いを楽しむ傾向が強い。日本人は概して控えめに見える。
福島大学の女学生が韓国人の女学生とカラオケに行った時のこと。韓国人と日本人の学生が手を握って楽しそうに歌っていた。日本人の学生は初め戸惑いを見せていたが、すぐに慣れたようだ。スキンシップに対する感覚も世代によって違うのだろう。20年後にどうなっているか考えてみるのも面白い。
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