毎日新聞 2004年1月21日 ハルニレより
  田舎ぐらしの韓国人


 80年代に日本に留学した鄭玄実さんは韓国南部の田舎町で育った女性。学業を終えたあと日本人と結婚してそのまま東京で17年間韓国語の講師をしていたが、年ほど前、福島市郊外の古い宿場町に民家を買った。親子3人のんびり田舎暮らしを楽しむためだ。が、それは全くかなわなかった。
 鄭さんが引っ越しの挨拶にと自家製キムチをご近所に配ったところ、これが評判を呼び、求めに応じて近所の数家族にキムチ作りを教えた。それが口コミで広がり、その年はさらに福島県内20か所でキムチの講習会を開いた。翌年はその数倍となり、昨年はのべ七百数十人にキムチ作りを教えたという。「お母さんはキムチ屋さんなの」
と6歳になる息子が尋ねたほどだ。
 そんなキムチ作りを通じたコミュニケーションの中から、「もっと韓国のことを知りたい」という声が上がるようになった。そこで鄭さんは「福島韓国語・韓国文化ネットワーク」を立ち上げ、現在、福島のみならず秋田や山形などで講演やハングル講座を精力的にこなし、いまや東北地方で一番元気な韓国人女性として知られている。
 そんな鄭玄実さんの講演会が2月1日(日)、海を渡って札幌でも行われる(札幌市民会館会議室で午後6時から。主催は「韓国を知る会」。一般参加費は500円)。
 演題は「田舎ぐらしの韓国人」。毎日新聞福島版に連載した人気コラムをまとめた
同名の単行本の出版記念も兼ねて、韓国の田舎を知る鄭さんが、日本での田舎暮らしという、東京でもソウルでもない視座から見えてきた、日韓文化の相違について語る。
 興味のある方はぜひのぞいてみて下さい。

 

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