04/07/24

  日本海を挟んだ対岸諸国との交流促進を目指す「北東アジア交流プロジェクト」の秋田シンポジウムが
23日、秋田市のアトリオン音楽ホールで開かれた。「交流促進と人材育成」をテーマに、交流の道具としての
言語に対する理解を深めた。日本海沿岸の地方紙10社と11府県、各府県の商工会議所連合会で構成する
「北東アジア交流海道2000キロ実行委員会」が主催。約400人が出席した。

  国際交流基金日本語国際センター所長の加藤秀俊氏が「アジアのことばとコミュニケーション」と題して
基調講演。交流を進めるには「相手が話す外国語が片言、中途半端、不完全でも、互いに寛容し合う意識が
必要だ」と強調。文法にこだわる語学教育より、「通じればいいという視点」の必要性を説いた。

  パネルディスカッションでは秋田大学長の三浦亮氏、韓国出身のコラムニスト鄭玄実氏、中国・上海の
服飾会社代表の愛蓮堂江氏、清酒メーカー秋田清酒(本社秋田県仙北町)海外営業担当の伊藤明子氏の
4人が意見交換。前東京外語大学長で今春開学した国際教養大学(雄和町)の中嶋嶺雄学長が
コーディネーターを務めた。

  これからの国際人の要素について鄭氏は、「国を枠組みにして考えるのではなく、互いのアイデンティティー
の重視が大切」と指摘。伊藤氏は「異なる文化を遊び心と好奇心で受け入れる柔軟性」を挙げた。三浦氏は
「相手を知るには、まず自分が何者かをはっきり確立させたい」と述べた。

  交流促進のための基盤づくりとしては、相手国の言語習得の必要性で一致。ビジネスマンの愛蓮堂氏は
「他人の心をよく理解し、信頼を築くことが大切だ」と訴えた。


(秋田魁新報)



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